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目蒲と池上。拍手のお礼だったもの。

 1949年10月10日

 「明日から池上本門寺でお会式が始まります。同じ駅を使っている目蒲さんにはご迷惑をおかけしますが、どうかよろしくお願いします」
池上は目蒲に対して深々とお辞儀をする。元々池上線は池上本門寺への参拝客の運送を見込んで開通した路線であり、年に一度営まれるお会式の時期には全国から集まる参拝客のために臨時ダイヤを増やし終夜運転をしていた。

 「今年は初めて臨時列車が運行すると聞いたが」
「はい」
目蒲の言葉に池上は嬉しそうに頷く。今年はこの日のために特別に誂えた方向板が飾られる『お会式号』を運行させる事が決定していた。
「それでは一段と忙しくなるな」
「そんなものは承知してます。五島様はこの時のために私を残したのだと思ってますから」
目蒲も否定は出来ない。池上線合併前、お会式の時期に池上電鉄に人が詰め掛けるのをただ指をくわえて見てるわけにもいかず、目蒲線の蒲田から矢口渡駅の間に新たに『本門寺道駅』を新設したという経緯だけでも、五島慶太がどれだけお会式の参拝客数を重要視しているかが分かった。合併後、本門寺道駅は道塚駅に名を変え、先の戦争で焼失してからは再建されないまま現在に至っている。

 「明日からの3日間、何事もなく運行を終える事を祈っている」
東急が他の路線に注意を促すように目蒲は池上に言葉を贈る。
「有難うございます。目蒲さんもお気をつけて」

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