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フロッグとクロック。短い話。

すれ違い。

 9:45
「フロッグ、もう用意は出来てるよね、開けるよ」
フロッグの部屋の扉をノックし、そう言いながら扉を開けたクロックの目の前には、安穏と惰眠を貪るフロッグの姿があった。その姿を見たクロックの顔が思い切り引き攣る。
「僕は間違いなく7時と8時と9時にモーニングコール入れてるはずだけど、何で寝てるのかな?」
クロックの気配に気付いたフロッグは、布団を被りながら寝ぼけた声で答えた。
「あと、15分寝かせて」
「10時に予定が入ってるの忘れた?」
その時間は『SUGOCA』促進イベントの打ち合わせのために2人揃ってJR九州の部屋に呼ばれていることくらいフロッグも覚えている。だが今はそれ以上に眠気の方が勝っていた。
「あの人いつも遅れるからちょっとくらい」
「そういう問題じゃない」
「クロックがちゅーしてくれたらすぐ起きるよ」
フロッグは布団から顔を出すと悪戯っぽく答える。その言葉を聞いたクロックはフロッグの布団を剥ぐと、胸ぐらを掴み上半身を無理やり起こさせた。
「OK、自宅警備員、歯ぁ食いしばれ」
「顔はやめてぇぇぇぇぇ」
 「こうしてる間にも時間は過ぎて行くんだから冗談ばっかり言ってないで」
クロックはフロッグを離すと部屋の時計に目を向ける。時計は9時50分を指していた。
「あと5分、それ以上遅れたら先に行くからね」
クロックは部屋を出て行く。

 フロッグはベッドから起き上がると背伸びをし、仕度をするためにクローゼットへと向かう。
「冗談かぁ、わりと本気なんだけどな」
パスモが気になるクロックはフロッグの気持ちに気が付かない。

 同じ頃、扉の外ではクロックがため息をついていた。
「あんな冗談ばかり言って、僕の気持ちも知らないで」
クロックはパスモが気になっていると思い込んでいるフロッグはクロックの本当の気持ちに気が付かないまま。
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